OKレーシング S15シルビア(デモ車)は、2リッター仕様では限界とも言える段階にありました。もともと中低速を重視した仕様でありピークパワーを追求してはいませんでしたが、中低速のパワーとトルクを稼ぎつつ高速域でのパワーアップはこれ以上は困難な状態に突入していたのです。
SR20DETはデータも豊富になり、次の段階へ移行しお客様にフィードバックできるデータを集めるため、またデモ車として相応しい更なる力を得るために、SR20DETの切り札である排気量アップ・SR22DET(2.2リッター化)をS15へ施すことになりました。
弊社では多数のお客様にご愛顧を賜り、作業予約が立て込んでおりまして、お客様のご依頼を最優先で作業させていただいておりますが、それでも申し訳ないことにお待ちいただいているお客様が複数おられる状態が続いております。そのような中でデモ車に付きっきりになるような時間的余裕はなく、このたびは東名パワード コンプリートブロックとナプレック ハイレスポンスキット:レース用(ヘッド)を使用してSR22DETの製作を行うことにさせていただきました。
ヘッドについては、今までのHKSのステップ3(9000回転仕様)から8000回転レブ仕様にし、ナプレック強化ロッカーアームを採用、バルブスプリングは東名パワードの強化バルブスプリングにしました。
圧縮比も調整し、燃焼室の容積も調整しました。
カムシャフトも東名パワード製品です(ラッシュキラーは以前のまま東名製品です)。
インジェクターもHKS 740ccへ打ち換え。さらに、今回はエンジンを開けるついでに、ナプレックの強化タイミングチェーンを使用しました。
2.2リッター仕様にするにあたり、タービンを変更です。今まで使っていたTD06-L2がサージング気味でしたので、TD06-20G、エキゾーストハウジング10cmを採用しました。
エキマニは従来のままで、アルトラック製ワンオフ完全等長2ミリ厚のエキマニを使います。
排気量アップに加えタービンも容量アップとなりますので、インタークーラーも容量アップ。今までの2層インタークーラーからトラスト3層インタークーラーに変更しました。
インタークーラーの取り付けにあたっては、レスポンス重視のため以前と同様にショート加工。インタークーラーを上下逆さまにし、ヘッドライト下に80φでパイピングを通しました(前置きインタークーラーキットは、一般的に配管が長いため、その分レスポンスの低下を招きます)。
コンピューターはアペックスのパワーFC、Dジェトロタイプを採用しました。
パワーFCはきめ細かなセッティングが可能であり、また純正のO2センサーを生かせ、さらにノックセンサーの数値を表示することも可能なので、より安全にパワーを引き出すことができます。
エアフロ制御ですとZ32やR35GT-Rを流用しても400馬力位の容量ですので、これを超えるハイパワー車は圧力センサー式のDジェトロで制御します。
※OKレーシングは、アペックスパワーFCエクセルショップです。
エンジンオイルも今回の仕様からはモティーズM114 15W-60を採用します。
今までの仕様(9000回転、ブースト1.5キロ、450馬力:谷口信輝選手によるドライブ)では、ロッカーアームからの給油が足りずオイルも過酷な状況に晒されカムにかじりが入ってしまっていました。カムやロッカーアームのかじりを防止するために、給油口が拡大されWPC処理が施されているナプレックの強化ロッカーアームを採用し、レースでその性能が証明されているモティーズのM114を選択したのです。
こうしてS15の新しいパワーユニットであるSR22DET(2138cc)が完成し、いよいよ実車に搭載です。限りなく高い性能を引き出すために、ダイナパックで現車セッティングを行いつつテストを重ねます。タービンについてもT67を使ったりなど複数のタイプを使ってテストし、ベストな性能が得られるよう最善の手を尽くします。
OKレーシングのS15は、もともと中低速重視で高い性能をはじき出していたため、TD06-20Gで中低速域のパワーやピーク馬力はさほど変わらないものの、2.2リッター化によってトルクが太くなり加速力は劇的に向上。特に5000回転付近からのトルクが上がり、3速でもタイヤが空転するほどの強烈なトルクを持つに至りました。ブースト1.5で452馬力・トルク56キロ、MAXはブースト1.7で468馬力という結果でした(ダイナパック TCF1)。
もちろん、サーキットではピークパワーがあればあるほど速いわけではなく、エンジン性能以外の要素も組み合わせたトータルバランスが大事です。ステージに合ったギア比や足回り、路面に駆動力を伝えるタイヤ、制動を司るブレーキなど、全ての要素においてバランスが取れた状態がタイムアップに繋がります。
2.2リッターは、ノーマルのエンジン限界を超える性能を発揮させ、より広いステージにおいてその戦闘力を高めるための最終手段。得られたモアパワーを生かすも殺すも、トータルバランスにかかっていると言えるでしょう。
※排気量アップの公認作業は、当店以外で組み付けた車両に関しては公認車検は承っておりません。
※浜松ナンバー以外は基本的に公認車検を承っておりません。
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