AE86・通称ハチロクに搭載されているエンジンは「4AG」。トヨタのスポーツ系エンジンという性格で、AE86に対してはNAの設定のみが存在します。これを手軽にパワーアップする手法としてターボ化がありますが、トルクの関係からリアアスクルシャフトが折れたり、ミッションブローの可能性が高まってしまうなどの弊害がございます。また、NAならではのエキゾーストサウンドやエンジンフィーリングが損なわれるので、AE86本来の姿であるNAのままでチューニングを進めていくオーナー様も多くいらっしゃいます。
今回ご紹介いたしますAE86は、NAの状態で各種チューニングを行う事例です。
まず、ノーマルの16バルブエンジンが発生するパワーを確かめるため、ダイナパックにかけてパワーチェックを行います。
87馬力、トルク11キロという結果でした。
4AGには、後発に20バルブエンジン(1気筒5バルブエンジン)が存在します。この4AG 20バルブエンジンはAE86に搭載されているエンジンと型式および排気量が同一なため、換装を行っても公認が必要なく、より高性能な20バルブエンジンへ載せ替えることでノーマル以上のパワーやフィーリングを追求することができます。
今回は、4AG 20バルブエンジン(AE111)をベースにチューニングを行っていきます。
エンジン換装にあたり、エンジンの耐久性をより高めモアパワーを得るために、トダ鍛造ハイコンプピストン、H断面コンロッド、東名ヘッドスタッド+ラダーセット+ナプレックヘッド加工、トダ強化バルブスプリング、トダ256カム(IN・EX リフト量アップ)を組み込み、エンジンの圧縮比は12.5に調整しました。また、クラッチ回りはキャパシティを向上させるためフライホイールをより軽いAE111用を採用しました。
今回チューニングいたします車両ですが、サーキット専用車ではなく、ストリートでも利用するため、あまりピーキーな特性にすると弊害が起こってまいります。
エンジン制御については、フリーダムコンピュータとAE111純正ECU+トラスト eマネージアルティメイトをテストし、後者の組み合わせの方がパワーも出て安定するため、AE111純正ECU+eマネージアルティメイトで制御いたします。
その他もテストを重ね、4スロにはノビーブースのインダクションBOXを採用。エキマニは低速トルク、高回転トルクに加え馬力もアップしたアルトラックの4-2-1のエキマニを採用。マフラーはインパルス60φを、触媒はSARDスポーツ触媒を採用いたしました。
こうしてテストを重ねて厳選したパーツを組み合わせてダイナパックでチェックしたパワーがこれです。
128.1馬力、トルク14.2キロになりました。
87馬力 → 128.1馬力
11キロ → 14.2キロ
初期状態と比較し、41馬力アップ、トルクは3.2キロアップです。
最新のエンジンユニットの秘める性能は別格で、改めてその性能の高さを認識した次第ですが、単純に20バルブエンジンへ載せ替えただけでは低速トルクがなくなってしまい、いくらセッティングをつめても高回転でしかパワーを得ることが出来ません。
つまり、エキマニやマフラーといった排気系はもちろん、吸気系などエンジンの特性に変化を与えうるパーツの組み合わせが大きく影響してくる、ということにもなります。
OKレーシングでは、膨大なテストを行ってきた結果得られたデータに基づき、お客様にフィードバックさせていただいております。
ターボ車もNAも、最終的にはセッティングの善し悪しが大切になってまいりますが、それ以前に車に装着されている各パーツの特性が重要なファクターであり、採用するパーツの善し悪しが最後まで響いてきてしまいます。
高性能かつ高品位なパーツを、車両の仕様や特性に合うパーツを、創業以来培ってまいりましたノウハウに基づきうまく組み合わせて導入することで、このような結果を導き出すことが可能となってまいります。
ライトウェイト・軽量ボディのNAで、約40馬力の向上を果たすと、フィーリングは別格のものとなります。
※ AE86 5バルブ4AGエンジンをLINK-ECUで制御することできめ細かなセッティングが行えるようになり、150馬力を狙えます。
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